千雨と蟻と小銃と 38-11


「どうかしましたか?」
 桜咲刹那の声は少し遠かった。我に返った神楽坂明日菜が、夕焼けから視線を外し、声のした方に向ける。友人達が少し距離を開けて立ち止まり、振り返っていた。知らず知らずのうちに足を止めて夕日に魅入っていたらしい。
「あ、うん、日の入りがだんだん遅くなってきてるなぁって」
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