千雨と蟻と小銃と 38-6


(どうしようかしら)
 顔が醜く歪んでしまう。白のワイシャツと黒のパンタロンでビシッと決めた優女は、怖さも人一倍だった。視線は、徒歩十分ほどの所にある広大な敷地に建つ建物を睥睨している。時間帯が時間帯、そしてこの辺りが学生寮とそれを目当てにした店舗だから良かった。目撃者は片手で数えられるほどだ。しかし、こういう所があるからすんなりと跡目を譲って貰えないのかも知れない。理解してはいる難しい。
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千雨と蟻と小銃と 38-5


 カップをソーサーに置く。アフタヌーンティーと洒落込んでいたが、どうにも落ち着かない。手ずから焼いたクッキーも会心の出来の筈が、味がぼやけている。
「はぁ~」
 天ヶ崎千草は、盛大に溜め息を吐き、テーブルの上で脚を大きく動かし、身振り手振りよろしく喧しく話す白い蟻を見下ろす。誰も相手をしてくれないのか、暇つぶしのターゲットになってしまったようだ。やることなら山ほど有るはずだろうに、ついさっき見たと言う警官達のやり取りをそれはもう雄弁に語っている。それ処では無いはずだ。千草は呆れを包み隠さず、アナセスから視線を外した。

新年の挨拶2013

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 開けましておめでとうございます。とは言ったものの、三十代にもなると年が明けたところで、たいしておめでたくもなく、ますます給料に見合わぬ責任を背負わされ、忙殺される日々になるかと思うと暗澹とした気分になってしまうオギカドカヤです。
 思いっきり愚痴から始まりましたが、それでも人間は環境になれる生き物なので、連載を再開しようと思います。とはいえ毎週更新出来るかどうかは、まだ未知数ですが……。それでも書かないことには始まらないので、かなり見通しの甘い見切り発車することにしました。

 と言うわけで、今年も一年よろしくお願いします。 
                                              オギカドカヤ

千雨と蟻と小銃と 38-4


「それは犯人が捕まったところで変わりますか?」
 低くゆったりとした声だったが、小島はぞっとした。新見の表情に変化はない。ただ視線はぐっと握りしめて震える拳を見つめている。
 息を呑んだ。いくらでも綺麗事は吐ける。しかし、そんなうわべだけの答弁など出来なかった。いまの彼の前ではそんなこと口が裂けても言えない。
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