千雨と蟻と小銃と 38-3


「本当に」
 反射的に返しながら、小島は新見に釣られて苦笑した。顔の皮膚の引きつりに、自分が緊張しているのがありありと分かる。勢いだけで前に立ったが、なにを言えばいいのか、頭の中は真っ白だった。
「…………」
「…………」
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お詫び

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 ご了承下さい。

                                         オギカドカヤ

千雨と蟻と小銃と 38-2


 緩やかに流れる景色から目を離し、手元の携帯電話に視線を落とした。電話もかかってこなし、メールも返って来ない。小島は胸の苦しさを覚えてシートベルトを緩めたが、解消される事は無かった。
「かかってきませんね」
 ハンドルを握る阪井が前を向いたまま言った。目は忙しなく周囲の情報を搾取するのに使用されている。とはいえ、前に車は走っておらず、後ろにも車はついていない。それどころか人通りもなく、とてもうら寂しい。こんな風景を見ていると、余計に気が滅入ってしまう。

千雨と蟻と小銃と 38-1


 薄暗い廊下の突き当たり、いまにも蛍光灯が切れるのではないかと、思うほど空気は重く暗かった。
「……はい、……はい」
 周囲を気にして押し殺された返事が繰り返される。魔法を使っているので感づかれる心配は無いのだが、それでも心情から堂々とはできなかった。あまり、いや、まったく嬉しい電話では無い。
「……申し訳ありません」
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