千雨と蟻と小銃と 36-5
「来たか」
なにをするでなくソファにかけていたエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが立ち上がる。
ここの持ち主として来客は出迎えねばならない。月明かりに照らされた海を眺めながら屋上に出た。
「ここまで骨を折ってやっているんだ。なにがなんでも封印は解かせるからな」
この場に居ない協力者に言い放つ。その彼女は用事が出来たと出て行ったきり帰って来ていない。ここで来客と鉢合わせになるのも面倒なので、都合がいいと言えば都合がいいのかもしれないが、やらなければいけない事が山積みのはずだ。
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