千雨と蟻と小銃と 31-6


『ああ、クソッ、面倒臭いな。段々ウチの動きに慣れてきたやないか』
 愚痴りながらローキックを繰り出す。紙袋をたたき割ったような音を響かせ、男がぐらついた。
「おっと」
 だが、攻撃を繰り出したはずのイステが飛び退くようにして距離を開ける。男がダメージに身を任せるように体勢を崩しながら攻撃したからだ。
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お詫び

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 インフルエンザではなく風邪を引いてしまいました。
 インフルエンザなら胸を張って休めるのですが(むしろ来るなと言われます)、仕事も忙しく只の風邪なら薬を飲んでこいとのことなので、症状が悪化し長引いております。
 ですので、原稿がまったく出来ておらず、申し訳ありませんが今週の更新は休ませていただきます。


                                                    オギカド カヤ

千雨と蟻と小銃と 31-5


「ほな頼んだで……あ、そやそや、そこの血にも砂かけて隠蔽しといてや」
 長谷川千雨の身体を操るイステが、神楽坂明日菜に背を向けたまま右手を振った。
「わ、分かったわ、あの……あなた千雨ちゃんよね?」
 イステは肩越しに振り返ろうとしたが、首がまだ繋がっておらず回らなかった。だから腰を捻って明日菜を見る。

千雨と蟻と小銃と 31-4


「勢いで助けてもうたけど、どないしよう」
 無造作に手に下げられた血の気の全くない長谷川千雨の首が呟いた。
 神楽坂明日菜の首が今にも油の切れた歯車のような軋みを発てて、声のした方に向き、視線がぶつかる。自分が言葉を発した間違いないと口許を歪ますと、彼女は顔を真っ青にした。
「そない驚かんでもええやろ――」