千雨と蟻と小銃と 30-1


 エヴァンジェリン邸での今日の訓練は終了し、長谷川千雨は寮に帰ってきていた。といっても帰って来てからすでに数時間経過している。
 その間に夕食も終らせ、千雨は買ってきた出来合いの珈琲で一息つきつつネットに興じていた。
 しかし、画面に映っているのは自分の運営するホームページではない。麻帆良学園の地図が映し出されている。神楽坂明日菜たちに与えたアイテムの転移場所を吟味しているのだ。
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千雨と蟻と小銃と 29-11


 微妙な空気を醸し出したまま行われた転移のテストは無事終了した。危惧していた神楽坂明日菜だが、彼女も問題なく転移を行うことが出来た。あとは長谷川千雨が外に仕掛けを施すと使えるようになる。
 そうして説明はミサンガに仕組まれた最後の機能――足場の作り方を教えることとなった。
 堂々たる巨躯を誇る図書館島地下のドラゴンだが機動力が侮れないものがある。ただの足場を作るだけでは地に足をつけているのと変わらない。そのための仕様変更だった。しかし、これには利用者たちが苦戦を強いられることとなる。

千雨と蟻と小銃と 29-10


 日は落ち、空には満天の星空が浮かび、月も空高くに浮かんでいる。
 人工的に作られた世界だがここは地球上に数十年前あった場所だ。空の見え方も当時と寸分の狂いもない世界が広がっている。
 長谷川千雨はペントハウスで皆と少し遅い夕食を取っていた。
 こんな時間に食事となったのは、皆が皆、自分の修行に集中し過ぎた結果、危惧していたことが起こってしまったに他ならない。

千雨と蟻と小銃と 29-9


 裁判を想像してしまった。
 本当に立つことがあるかも知れないなぁ、と漠然と考えながら周りにいるクラスメイトたちを見る。
 原告は神楽坂明日菜。裁判官は桜咲刹那に古菲と長瀬楓、傍聴人はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルといったところだろう。
 もちろん被告は長谷川千雨である。
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