千雨と蟻と小銃と 25-4


「エヘヘ~」
 口から血を零しながらはにかんで、チラチラと長谷川千雨を見上げる神楽坂明日菜のクローン・アンジェリカ。
「解析できたのか?」
「いいえ、ただ造っただけよ、まだな~んにも解ってないわ」
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千雨と蟻と小銃と 25-3


 喧騒に彩られた一日は瞬く間に過ぎた。教壇には今日二度目のネギ・スプリングフィールドがホームルームを行なっている。
 クラスメイトたちはネギの話に耳を傾けていた。しかし長谷川千雨は彼の口語られる言葉を聞いてはいない。部活に入っていない彼女にとっては意味のないことで、早く終らないかとそんなことを思いながら動体視力――蛍光灯の点滅を数えるというひどくつまらないバカな事に挑戦していた。

千雨と蟻と小銃と 25-2


 朝のショートホームルームが始まり、十歳の教師が説明に追われていた。
 登下校の注意。部活動の縮小。中間テストも再来週に行なわれるので、試験勉強の時間がとれて好都合とはいかなかった。テストのあとには学園祭が控えている。フライング気味に準備を進めている所もある。それが滞るのは非常にまずいのだろう。千雨は、騒ぎ立てるクラスメイトたちを眺めながら、溜息をついた。

恋情奇譚 06


 夜のとばりも下り、騒がしい一日も終りに近付いていた。
 蓮城志乃は湯船に浸かりながら背伸びをひとつする。湯船に大きく波が立った。そのまま縁に腕を乗せ、それを支点にして身体を浮かせる。志乃は目立つ。騒動を起こすからという理由だけでなく物質としても目立っていた。

千雨と蟻と小銃と 25-1


 夜が明けた。平日であるため当然学校はある。
 昨夜の事件は揉み消される事なく世間に知れ渡った。
 集まった野次馬たちが世に放った情報は、マスコミでもトップニュースとして扱われた。
 ネットでも誰が取ったとの思うような目を塞ぎたくなるような映像が流れたが、それはすぐに見つけられ削除される事となった。