千雨と蟻と小銃と 23-10


 野外ステージの脇にあるコンセントが火花を散らす。その中からわらわらと白い蟻の固まりが湧き出し、白い球体となってごろんとステージを転がる。
 そのままステージ中央近くまで転がると崩れて中から近衛木乃香が描かれたカードが姿を表した。
「あなせすの体型ではカードの運搬は面倒なの」
 そう言いながらカードを牙で咥えて、カードの持ち主である木乃香の前まで進み出る。そして頭を上げて、古菲の頭をタオルで押さえていた木乃香に差し出した。
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千雨と蟻と小銃と 23-9


 ネギ・スプリングフィールドは立ち竦んでいた。
 腕は力なく垂れ下り辛うじて指に杖が引っ掛かっている。それは身体の震えにあわせてカタカタと音を立てていた。そして顔は真っ蒼になり歯はガチガチとなり目は左右に踊っている。
「……あの日と同じではないかね?」
 ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマンが慈しむように優しく声をかける。

千雨と蟻と小銃と 23-8


『ええんかってどないしたんや?』
 使い魔の声が脳に直接響くが、長谷川千雨は答えない。肘を突いていない右手は指を鳴らそうとした形で止まっていた。
 背中に嫌な汗が流れて出ている。何が起こったのか千雨にもわからなかった。
 割って入ろうとしたのだが、その瞬間得体の知れないものを感じて思考が止まったのだ。

百三十回更新をおこなって

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 でかい台風来ましたね。寝ているとシュゴオォォォッという音を聞いて目を覚ましたオギカド カヤです。
 ビックリしました。雨戸の隙間を通る音だったのですが何事かと飛び起きました。原因がわかりすぐに寝ましたが……
 百三十回目の更新となりました。
 夏休み、ちょっとしたツーリングをかねた旅行に行き、英気を養いました。これで年末まで戦えます。
 まともにコメント・拍手・ご意見等に返事を返さない私ですが書き込みありがとうございます。これからも頑張りたいと思いますのでよろしくお願いします。

麻帆良外典 ~真・女神転生before~ 受胎編 第一章ノⅥ



 第一章 悪魔召喚プログラムⅥ 変化


千雨と蟻と小銃と 23-7


 身体に掛かる抵抗を感じながら雪広あやかは目の前で起こる光景に驚愕していた。
 このような事は修学旅行でもあった。
 映画村で繰り広げられた演出。あやかもそれに参加し不思議に思わなかった。振り返って見るとおかしな事がたたあったのだが、今目の前で繰り広げられている事柄はそれらとも一線を画していた。
 ここでこうしている前、寮内で繰り広げられた事もそうだ。

千雨と蟻と小銃と 23-6


 ネギ・スプリングフィールドは、隙になると分かりつつ顔を向けた。犬上小太郎も横で同じ様に顔を向けている。しかしヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマンはその隙をつこうともしないで、ネギたちをジッと見ていた。余裕の表れと彼らの目的が戦力分析にあるからだろう。じっくりと観察していた。
 ネギが古菲の方に一歩足を踏みだす。彼の前を魔力の塊が通り過ぎ、そのまま階段状に設置されたベンチを破壊する。ヘルマンが左手を突き出していた。