千雨と蟻と小銃と 22-3


 麻帆良女子寮、665号室。
 那波千鶴、村上夏美、雪広あやかの部屋。そこには本来女子寮に入れる訳がない男の子がいた。
 少年はほとんど手掴みで食料を貪り食っている。
 対面式のキッチンでは千鶴がその様子を朗らかな笑顔を浮かべて見ていた。
「うん、うまい! うまいわこれ!!」
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千雨と蟻と小銃と 22-2


 クシュンッと一回くしゃみをし、ズズッと鼻を啜りながらエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは室内に戻った。
 騒がしい来客たちが帰ったら、家の中は雨音だけが聞え、なんともいえないものを感じさせた。
 エヴァンジェリンはそれを鼻で一蹴すると、
「茶々丸はまだ帰らんのか」

千雨と蟻と小銃と 22-1


 葉加瀬聡美の研究室。アナセスはまだ超たちと一緒にいた。彼女は超の肩に乗り、一番近くのモニターを除いている。画面には茶々丸の状態が映し出されていた。
「ちゃおも悪なの。協会に見つかったら大変な事になるの」
「見つからなければ問題ないヨ。アナセスさんもいるから大丈夫ネ」

千雨と蟻と小銃と 21-8


 満月が照らす中、皆がイドの絵日記を見て絶句した。
 まだ幼いネギ・スプリングフィールドが、力なくコポコポと空気を吐きながら湖のそこに沈んでいく。すぐそこにネギがいるので大丈夫なのだが、皆が思わず固唾を呑んでこの後の展開を見守っていた。
 宮崎のどかがゆっくりと次のページを捲る。ゴクッと誰かの唾を飲み込む音が聞こえてきた。