千雨と蟻と小銃と 19-7


 長谷川千雨は絡繰茶々丸と空を飛びまわりながら、ドラゴンと銃撃戦を繰り広げていた。
 ドラゴンは二十メートルを超える巨体を急旋回させ、被弾を最小限にしつつ、炎を吐いて反撃してくる。
『マクダウェル』
 千雨はドラゴンの攻撃を余裕で避わしながら、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルに連絡を入れた。
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千雨と蟻と小銃と 19-6


「さて、それではそろそろ起こしますか」
 アルビレオ・イマはわざわざアナセスにそう語りかけると、眠っているネギ・スプリングフィールド達を起こしにかかった。彼らは深い眠りについていた。今までの会話も耳に届きこそすれ、理解は出来ないでいるだろう。
 アルビレオ・イマは優しく彼らの肩を一度ずつ揺すっていく。

千雨と蟻と小銃と 19-5


「ここは一体どこなの?」
 アナセスは周囲を見渡す。ネギ・スプリングフィールド一行は落とし穴に落ちてから幾許もしない内に気を失った。落とし穴には魔法がかけられてあった。それが作動し皆は気絶させられ、最後にはここに転送された。ただアナセスにはこの手の魔法は一切通用しないため、難を逃れる事が出来たのだった。
「それよりも先に聞くことがあったの。どうしてここにいるの?」

千雨と蟻と小銃と 19-4


 日曜日、午前九時四十五分。
 綾瀬夕映は長谷川千雨が出てくるのを待つ。転落防止用の手摺に背を預け、手にした哲学書を読んでいる振りをしている。その表情は非常に眠たげであった。
 夕映は一睡もしていなかった。近衛木乃香と一晩中、魔法の練習をしていたのだ。
 木乃香は魔法使いとして第一歩を踏み出すことが出来た。木乃香の知る魔法は「火よ灯れ」だけだが、それは習得したといってもいいだろ。