千雨と蟻と小銃と 16-6


 アナセス達が自己紹介をしている頃、長谷川千雨達はリビングで次の議題に移っていた。
 千雨が学園生活を送る上でかなり重要度が高い議題だ。
「コイツをどうするかだ」
 千雨が自らの愛銃ウィンチェスター製レバーアクションライフル・ランダルカスタム、イステを握りながら言った。
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恋情奇譚 01


 朝、目覚まし時計の音で、蓮城志乃は目が覚めた。
 正確にはまだ目は覚めていない。
 虚ろな瞳のまま。ベッドからなんとか這い出す。いつもならこのまま十分ぐらい心地良いまどろみの堪能するのだか、今日は出来なかった。
 志乃は色気のないジャージ姿、ズボンが半分ずり落ちて裾を引き摺りながら、おぼつかない洗面所に向かった。

千雨と蟻と小銃と 16-5


「つまらないの」
 アナセスは愚痴りながら、世界樹近くの丘を目指していた。丘は芝生で覆われ、道を作るかの様に芝を切り裂きながら移動していた。
 アナセスは機嫌が悪い。
 カモミール・アルベールを狩ることできなかったからだ。話し合いで、カモへの制裁は千雨自身が行うことで話がついた。千雨とアナセスの関係の露呈を恐れてのことだった。

千雨と蟻と小銃と 16-4


 一旦自室に戻った長谷川千雨は、備え付けのバスルームでシャワーを浴びていた。
 背中の裂傷は痕も残さしていない。付着している血糊がなければ傷を負ったとは思わないだろう。
 血糊を落とし終えると、水滴の滴るまま、部屋の中を闊歩する。
 一歩歩くごとに身体の表面から陽炎が立ち上ぼる。

千雨と蟻と小銃と 16-3


 妙に硬い小熊を撃退し、少女を助けた長谷川千雨は、事の成り行きを待った。
 助けてから治療の必要がないと分かって、少女が回復するのを待っいた。
 折れた骨が音を立てて元に戻り、傷口に肉が盛るように重なり治療が完了した。
「おい、大丈夫か?」