千雨と蟻と小銃と 15-6


「さて、どうするかな」
 翌朝、四月二十九日、火曜日。今日はみどりの日で学校は休みだった。
 これからの事を考えながら、今朝届いたパソコンの開封を終え、必要なソフトのインストールを行なっていた。
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千雨と蟻と小銃と 15-5


 放課後職員室、今ここにいるのはネギ・スプリングフィールドただ一人だった。
 ネギは一人机に向かっている。目の前にはテストの答案用紙が積まれていた。彼は一人黙々とテストの採点を行なっていた。
 そんなネギをアナセスは天井から見下ろしていた。
 ネギは一定のリズムでマルとバツをつけていく。動きはただそれだけ、そんなのはアナセスにとって面白くもなんともないので、天井から飛び降りた。

千雨と蟻と小銃と 15-4


 長谷川千雨は携帯電話を開いて、時刻を見た。すでに四時をまわっている。
「来ねぇなぁ」
 誰もいないため人の目も気にせず、大きな欠伸と共に言葉を発した。咥えた煙草が口元から落ち、慌てて摘んだ。
 吐き出された空気が青紫の煙を攪拌する。指を回すと煙が渦巻き、空気の流れを視覚で捉えることを可能としていた。

千雨と蟻と小銃と 15-3


「あなせすを舐めないでほしいの」
 昼休み。アナセスは千雨の言いつけを守らずに、麻帆良学園女子中等部内を探索していた。
(全然平気なの。ちさめはあなせすの進化速度を見くびってるの。電子精霊なんてちょちょいのちょいなの)
 歩き回ってみて学校内の安全性を再確認できた。

千雨と蟻と小銃と 15-2


 月曜日。こんな状況でも授業はあった。
 学園都市は完全復旧までには程遠かったが、だからといって休校にして、一介の教師を総動員し復旧に当たるということもある筈もなく、一部の教師を除いて授業は始まった。
 一部の教師というのは、魔法関係者で、この状況下学園内の警備に借り出されていた。このメンバー中にネギ・スプリングフィールドは呼ばれていない。そして生徒側の魔法使いも呼ばれていなかった。