千雨と蟻と小銃と 10-5


 千雨は携帯電話を耳に当てかかるのを待った。
 五回目のコールで相手が出た。
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千雨と蟻と小銃と 10-4


 ホテルの三班の部屋、すでに千雨の定位置になった窓際の椅子。千雨は深く腰掛けながら思考に耽っていた。
『笑うしかない位やばい状況になってきた』
『津高はええとして、月詠と白髪のガキ逃がしたんはきついな』
『このままだと近い内にばれてしまうの』

千雨と蟻と小銃と 10-3


「ここら辺でいいか」
 そう言うと足下に魔方陣が描かれた。そして、腕を横に振ると、魔方陣から光が立ち上ぼり、瞬きする暇もなく広がっていった。
 千雨を中心におよそ三十メートルそれから先は景色が大きく歪んでいる。

千雨と蟻と小銃と 10-2


 千雨は現在、絡れていた。バスの中、隣に座るいいんちょ、雪広あやかに。
「ちさめさん、聞いてるんですか?」
「……聞いてるって」
 千雨はうんざりしていた。どうもいいんちょ、昨日酔いでつぶれてしまった分を今日取り戻そうと張り切っていたのだか、自由行動でネギと一緒に回れないことにかなりテンション高めで悲観的になっていた。

千雨と蟻と小銃と 10-1


 修学旅行二日目、千雨は一階大広間に向かっていた。千雨の前には同じ班のいいんちょ、後にはザジが千雨と同じように大広間に向かっていた。