千雨と蟻と小銃と 9-2

 カエルの一件以降、新幹線の中ではこれといった事件は起こらず、修学旅行は予定どうり進んでいた。
 千雨達は今、清水の舞台をバックに集合写真を撮っていた。千雨の後では鳴滝姉妹が千雨の頭に手をついて欄干にのり、手を振っている。
『千雨。振り落としなや』
『さすがにしねーよ』
 千雨は上目づかいで鳴滝姉妹を見ようとしたが当然見えなかった。
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千雨と蟻と小銃と 9-1


 八時四十五分を少し回った頃、千雨は大宮駅にトランクを持って新幹線乗り場に向かっていた。

千雨と蟻と小銃と 8-2


 千雨はオープンカフェで人を待っていた。
 修学旅行を明後日に控え、道具を受け取りに来たのだったが、千雨の機嫌が余りよろしくない。
『くそっ、違う場所じゃ駄目だったのか』
『ほんま千雨は人ごみ嫌いやな』
『人一杯なの』

千雨と蟻と小銃と 8-1


 一日の授業が終わり、千雨は帰る用意をしていた。
帰りのホームルームが始まる。昨日で問題が解決したのか朝からネギはテンションが高かった。
「えーと、皆さん来週から僕たち3-Aは京都・奈良へ修学旅行へ行くそーーで……!!」
 ネギがうれしさを隠さずに言う。