千雨と蟻と小銃と 1-1
朝、すこし寮を出るのを遅れたが、遅刻するほどの時間の遅れは無かった。ただ、朝の後遺症か、長谷川千雨は気だるげに歩いている。
教室に向けて廊下を歩いていると、千雨の教室のほうから色めきづいた声が聞こえてきた。
『ちさめ! ちさめ!! なんかうるさいの!!』
アナセスも聞こえてくる声に当てられたのか、いつも以上にテンションが高かった。
千雨と蟻と小銃と プロローグ
薄暗い部屋の中、床にオレンジの光が所々、点いていた。その明かりにてらされる範囲は狭く、それでも、部屋の中が物であふれていることを分からせるには十分だった。
壁際、窓にひかれた厚手のカーテンは完全に光を遮断している。あたかも外界との関わりを完全に遮断しているようだった。その有様は部屋の主を性格にに現していた。